Wine tasting: Monvinic

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先日ワインの試飲コースを受講してきました。日本ではあまりこういうコースも無いかと思うので、スペイン人のソムリエに教わったことについてまとめようとおもいます☆

スペインで有名なものはサッカー、フラメンコ、闘牛、生ハムそしてワイン。日本では毎年フランスのボジョレー産のワインだけが輝かしいマーケティング戦略のお陰で毎年秋になるとテレビ番組を筆頭に大々的に取り上げられますが、ある意味これはとても残念なことです。フランス人の友達には「美味しいワインは年によって違うのよ!」と一蹴されました。どんな有名な銘柄のワインでもダメな年もあるのです。

また、日本ではワインが「わかる」ことがなぜかカッコ良いと評価される傾向があります。ワイン産地では飲み物の選択肢の一つであり、キリスト教圏では「キリストの血」を意味する宗教的なシンボルでもあります。よくよく考えると本来、別にとりわけカッコ良いというわけではないのです。

とはいっても、ワイン輸出国出身のスペイン人でさえもやっぱりワインが「わかる」人はカッコイイという印象があるようです。スペインではスーパーでワイン1ボトルに500円から700円出せば結構美味しいワインが飲めて、ワインはかなり日常生活に密着しているはずなのに、です。

そんなこんなで、せっかくスペインにいるなら、この『ワインが「わかる」ことは本当にかっこいいのか?』という命題の答えが欲しいと思い、バルセロナの中心にあるMontvinicというワインセラーでワインの試飲コースを受講しました。

前置きが長くなりましたが、そのワインの試飲コースで学んだことを共有したいと思います。

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Monvinicの入り口です。地元の富豪が低価格で誰でもワインについて学べるようにという想いでこのワインセンターを作ったとソムリエから聞きました。一見すると敷居が高そうな感じがしますが、そんなことはなく本当にワインが全く「わからない」という人も温かく迎えてくれます。また店内に低音でかかっているバックグラウンドミュージックもとてもセンスが良く居心地の良い空間です。私はこの3日連続のコースを受講する前も後もたまにここに遊びにきて友達とワインを飲んでます。ボトルだと高級なワインも一杯(もしくは半カップ)なら、数ユーロで試飲することができます。ワインだけでなく食事もできます。

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ワインの試飲で大事なことは毎回ワインを試飲する前に水または味の無いビスケットなどで口の中に残る味を消すことです。何らかの味が口中に残っていると正しく味を見極めることはできません。

またワインの試飲はあくまで味見なので口の中で味見をしたら飲み込まず脇に置かれている壷にペッ。私は高級なワインばかり試飲させてもらったので吐くことができず毎日酔っぱらいでしたが、ソムリエは通常飲みません。講師のソムリエも後ろ向いてボトルにペッしてました。

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この上の表はワインを味わう際のポイントです。一番上のラインに書かれているのはこのポイントで、鼻から入る香り、酸っぱさ・甘さ、質感(テクスチャー)、アルコール度数、ワインの濃度、口の中での香り、質(クオリティー)、ワインの年齢、とあります。確認するポイントはとても多いです。通常私たちの口はこれほど細かい情報をキャッチできるように訓練されていないので初めは全くわからないのが普通です。ワインについての講義ではありますが、本質は「全ての食べ物に共通する味が分かる」ようになるということです。そのため1日目はワインのテイスティングを実際に始める前にワインの味を構成する要素を学びました。

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上の図は人間の舌です。色がついている場所はそれぞれ何処でどんな味を感じるかを示しています。舌先の赤色部分は甘さ、その両端の黄色い部分はしょっぱさ、舌の横側の緑色部分は酸っぱさ、舌の奥の青色の部分は苦さを感じる部分です。まさに、ワインを構成しているのはこれら4つの基本的な要素です。

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初めに試飲させてもらったのはこれらの味覚を活発化させ、舌の何処でそれぞれの味覚を感じるかを体感するための、糖分の多いジュース(甘さ)、塩水(しょっぱさ)、レモン水(酸っぱさ)、お茶・カテキン(苦さ)でした。それぞれの味覚を意識して使ったことが無かったのでとても新鮮な経験でした。

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お待ちかねのワインの試飲です。一日目から8種類のワインを試飲させていただきました。まずコップに鼻を近づけて香りを確認。この時点で何年頃に作られたワインか当てる練習をしました。香りで若さがわかるのです。次に口に少しワインを含んで舌の上でワインを動かしそれぞれの味覚スポットで味を確かめます。この時にこのワインの味を何に例えられるか、という訓練をしました。例えばチーズだったり、果物だったり、味をじっくり確かめると何かに似ているということがあるのです。

そして一番おもしろかったのが、3日目の講義が終わる際のソムリエの一言。

このコースを受講したからといってワインがわかるわけではありません。明日からさっそく友達の前でワインのうんちく披露しないように(笑)ワインで本当に一番大事なことは、自分がその味を好きか嫌いかということです。値段が高いからといって買ったワインも、その味を好きになれなければ、当たり前のことですが、あなたにとって良いワインではありません。

これは、確かに!!と納得です。これからワインに関するうんちくを披露する人に出くわしたら、「あーそうかい、そうかい」です。飲んで美味しければいいのです。という訳で、ワインはわかればわかるに越したことはないしカッコよく見えるかもしれないけれど、一番重要なワインを楽しむという観点から言えば別にワインはわからなくて良い、というのが今回の結論です。嗜好は個々人で異なるので、自分の好きな味のワインに出会えたらラッキー。いろいろ試し飲みしてお気に入りのワインを見つけていきたいです。

日本でも山梨のワインが最近は頑張っていると聞きます。日本に戻る時に山梨のワインをぜひ飲んでみたいと思います。こっちでは残念ながら日本のワインをワイナリーで見かけることはありません。いつかスペインで日本のワインが普通に売られるようになる日が来たらとても嬉しいです。

  • Monvinic (モンビニック)

Web: http://www.monvinic.com/en/ (English)

Address: Diputació 249 08007 Barcelona

Tell: +34 932 726 187

平日は19時を越える頃から会社帰りのお客さんが立ち寄るので混雑してきます。ゆっくり飲みたい場合はそれ以前の時間が理想。

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